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投信への逆風

日経が連日投信へ厳しい記事を掲載する。

「個人マネーの受け皿 投信に転機、新規投信の

乱造に歯止め」(2018.8.30)

 

テーマに乗った商品や海外債券の仕組み債、等

手数料を高めに設定できる商品を次々開発、設定し、

販売が伸びず残高が減れば、”繰り上げ償還”といって

満期前でも(投資家の合意の元ではあるが)償還してしまう。

 

手数料のため次々開発・販売して、中途半端な投信が売れ

残り、投信の本数がやたら増えてきた、という業界構造だ。

 

その構造に転機をもたらしたのが、金融庁の指導だ。

フィデューシャリー・デューティー(Fiduciary duty:受託者責任)

の徹底を金融機関に強く呼びかけている。

今の金融庁行政のキーワード。覚えておくべき言葉。

 

自分の儲けのための商品、販売ではなく、顧客に最適な商品を

開発・販売する責任を問うたものだ。

”手数料の高いものを出してみて、ダメならやめて、ハイ次、”

というやり方ではないのか、と業界を厳しく戒めているのだ。

ご指摘、ごもっとも、だ。元業界人としては、恥ずかしい。

 

当局の厳しい姿勢を受け、2017年から業界内でも動きが出始めた。

年10%以上の分配金を払い出し基準価額が大きく下落する

毎月分配型投信の販売が抑制されたのも、この指導による。

Jリート、海外リートの投信などだ。

今後は新興国債の投信等も、環境が厳しくなったこともあり

販売が抑制されるのではないか。

 

我々個人投資家は、設定する金融機関の側の意図を知り、

より良い投信を選択する眼を持つ必要がある。

「プロの作ったものだから安心」と安易に頼ってはいけない。

過去長期に亘り安定したパフォーマンスか、など確認すべきだ。

 

そして、何よりも、利害が絡み人為的に作られた投信等の

金融商品だけに頼るのではなく、自分自身が、選び方やリスク管理の

方法を学び、株やJリートの個別銘柄にも挑戦できるように

リテラシーを高めるべきであろう。

 

ちなみに市場への影響については、

今後特に中小型銘柄に対して大きく表れることが想像できる。

昨年から今年初までの中小型の大相場は、主に投信への資金流入

によって支えられてきたからだ。

今、その流れは逆転しており、これからも続くとみている。