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堅調なオフィス市況も正念場

今週の相場は、材料目白押し。

カナダNAFTA再交渉(5日)、対中関税2000億ドル発動の是非(6日)、

米雇用統計(7日)等。皆アメリカ関連。

今週で米FOMC(25日~)までの相場が見えそうだ。

しかし、今日は米市場はお休み。

 

さて日本のオフィス賃貸市況について。

空室率の低下が進んでいる。賃料も上昇継続中。

三鬼商事5区空室率は2012年の9.4%から足元2.58%まで

低下した。もうこれ以上低下できない限界、というレベルだ。

リーマン前のボトムが2007年11月の2.49%だ。

 

当初ここまで改善すると見られていなかった。

リサーチ機関、プロの多くは、供給が2018、2020に増える

ことを理由に2017には市況悪化を想定、予想を間違えた。

 

強いオフィス需要を支えるのは堅調な企業業績だけではない。

重要な構造的要因として「人手不足」がある。

採用で有利にしたい、離職を防ぎたいことから、立地改善の動き

が進んでいる。より駅近でハイスペックなオフィスへの

移転意向が大企業も中小企業も強いのだ。

さらに、高齢者や女性の雇用確保に前向きな企業も少なくない

(非正規雇用分も含め)。企業は床が欲しいのだ。

 

オフィス家賃は、以前は”真っ先に下げたい固定費の代表格”

だったが、今の企業にとっては、

「人材確保のための戦略的コスト」に、位置づけが変化した

ということだと思う。

 

ただ、そろそろ、ピークに差し掛かりつつある気がする。

 

2020年、オフィス供給は増える見通しで、さらに空きの少なさも

物理的限界に既に届いている。

空室率のさらなる大幅低下は見込めない。

 

賃料については、供給の極端に少ないBCクラスのオフィス中心に、

意外に堅調さを保つ可能性はあるが、複数回の賃上げが浸透し、

以前のような割安感は後退した。

 

実物不動産の売買価格が世界的に非常に高騰している点にも注意が必要だ。

(日本で低金利が続いても)世界的な金利上昇や、金融市場での

不安定な動きなどをきっかけに、実物不動産市場が値下がりに転じ、

オフィスの賃貸市況にも影響しないとも限らない。

 

私は、実物不動産の売買価格は、既に総じて割高だとみている。