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FRBの強い危機感、市場とのズレ

FRBパウエル議長は以前「利下げがウィルスに効くわけではない」と言っていたが、これは、『金融政策だけではどうにもならない』との当局の危機感が表れた言葉と受け止めるべきだろう。

 

銀行に迫る大危機を理解し、FRBは警告を発している。2022年までの貸倒損失が、経済回復シナリオがどうなってもリーマン危機時を上回る(前図)との試算を元に、主要34行に自社株買いと配当増額の一時停止を要請した。

 

つまり、民間の社債まで買う異常な金融政策をFRBが執行しなければ、銀行はとっくに不良債権の海であり、破たんさえしていただろうとの想いがあると想像する。というか、間違いなくそうだったと、私は思う。

 

6月FOMCでは、経済の本格回復は2023年だと指摘したFRB。2022年一杯は0金利を変更できないとの見通し(上図、ドットチャート)を、市場は当時若干気にしたが、今では概ね無視している。

 

FRBの非常に厳しい見方に対し、市場は楽観的だ。

 

市場にはカネが余り、今パニックにはなっていない。

だから株、ということだ。

債券も0利回りで買えないから、消去法で株にカネが来てしまうだけだ。

 

FRBか市場か、いずれかが間違っている。