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金を買っている国

私が金に強気なのは、スタグフレーションが

徐々に迫っているからだ。

 

景気が悪化しても物価・金利が大きく下がらないスタグフレーション下では、

株は金利が高止まり、業績も悪化し、一般に非常に厳しい。銘柄は厳選が必要。

債券も金利が大きくは下がらないので、厳しい。

期待できる投資先が殆どなくなるのだ。

大げさに言えば、金しかなくなる、ということ。

2023年05月03日 - 金、高値更新「金が上がる時、他の投資は全てダメ」

 

しかしさらに、需給面でも強気を支える要因がある。

最強の投資家が下値を支えているのだ。

最強の投資家とは、各国中央銀行。

 

どの国の中銀も、自国通貨の価値を守るため「金準備」を積み立てている。

金の延べ棒を地下金庫に貯蔵しているのだが、

新興国の中銀の金準備は、多くがまだ不十分なのだ。

経済に対する信認が希薄で売り叩かれている通貨の国ほど、必要になる。

 

通貨当局、いざとなればプリントマネーできる主体が

時代のリスクを感じて勢ぞろいして買いに来るのだから、

高値を買い上げる買い方はせずとも、下値には必ず買いが入ろう。

だからもう、大きくは下がらない。

 

  

上図左がこの10年、右は2022年に金準備を増やした

世界の中央銀行のランキングだ。(日経)

 

中ロは、米と不仲になるにつれてドル資産を売り金への投資を増やしている。

中国は巨額に保有していた米国債を売り金に換えている。

 

また金の好きな中東諸国、さらに戦前などにハイパーインフレを

経験し金の大切さを知り抜いている東欧諸国なども、買っている。 

言い方を換えれば、オイルマネーらもガッチリ金相場を支えている。

 

今後景気後退が深まるほど、リスクが高まるほど、金は魅力を増すだろう。

他に投資資金の行き場が無くなるのだから。