第91回「2025年振り返り:大インフレ相場元年!」
(FP E-PRESS に出稿 12月号)
皆さんこんにちは、株メンター梶井です。
投資教育者として、皆さんの資産形成にストレートに役立つコラムを、元運用者(FM)の経験知をもとに、連載しています。
ここまでの今年の相場を振り返ると、為替は概ね140~150円台後半のレンジ推移でしたが、株は日米とも振れの大きい年でした。
日経平均はトランプ関税で31000円まで下げた後、サナエノミクス期待で一時52000円まで上昇、一方米でも春先から上昇が続きましたが、AI一極集中相場には一部懸念の声も聞こえ始めました。
また10年債金利はアメリカが緩やかに低下した一方で、日本は利上げ期待を反映し20年ほど前の高水準まで上昇しています。
さらに、マーケットの値動きを比較すると、今年は大切な転機の年!でした。
【2025年のマーケット】
まだ今年は終了していませんが、ここまでの上昇率を比較すると、
「金>日本株>米株」となっています。
私は、これがまさにインフレ時代特有の値上がりパターン、新たなスタンダード、だと思っています。
【金の急騰】
まず、なぜこんなに金、さらに貴金属が全般に上がり始めたのでしょうか。
今年は“貴金属相場元年”とも言えますよね。
インフレ時代とは、モノが値上がりする時代、言い換えれば通貨が値下がりする時代(通貨の単位当たり価値がプリントマネー[中央銀行による量的緩和]によって下がる時代)です。
安全安心で供給にも制約があるモノ(実物資産)の代表は金をはじめとする貴金属、一方世界のカネの代表は、基軸通貨ドルです。基本的にまずインフレ時代は、貴金属高ドル安、となりやすい時代、といえます。
さらに、金に限って言うと、特別な事情がありそうです。
つまり、金に人気がある、ということではなく、ドルの人気に陰りが出始めた、ということです。
世界中の国家・中央銀行などが準備金等の資産をドルで所有するのではなく、金で所有するよう変更し始めている、ということです。金の上昇は、ドルを始めとする世界の通貨への信認の低下が影響しています。コロナ禍などへの対応で世界の中央銀行がプリントマネーを繰り返したからです。
準備金をドルから他の資産に置き換える際、信頼できる他国通貨等が見つからず、従って最も安心な資産=金に資金が集中しているのです。この“代わりが他にない”ことが、急騰の主因です。
さらに足元では、トランプの専横的な外交姿勢等が海外諸国からの不信を買い、ドルで資産を持つことに不安を感じる国々がドルから金へ資産を移し替えているようです。
なお、銀、プラチナなども今年から上昇を開始したのは、金が先行して急騰し過ぎたこともあると思います。金を買いたい資金が、でもあまりに短期急騰したので、金に代わる役割を他の貴金属に求めた、ということです。
今後については、金に代わる資産を見つけることが難しいので、急に大きく下落することもないと思われます。下値には多くの中央銀行が待っていますから。
【金>日本株>米株 これがインフレ相場】
では続いて、株の世界です。
インフレ時代に入り日本株が米株より好調となってきました。
なぜでしょうか。
コロナ禍以降の名目GDP成長率の伸びを比較すると(2023~)、米は年率約5%、一方で日本も約4%もの高い伸びを記録しています。
ご存知でしたか、名目ベースではこんなに高いペースで我が国も成長していることを!全く実感はないかもしれませんが(笑)。
今はなんでもかんでも値上げの嵐、ですね。値上げは名目成長の重要なドライバーです。
一方で金利コストつまり名目金利は、ラフにいうと10年債で米4%、日1.5%程度です。
従って、名目経済成長率-金利コスト、をその国に投資する際の利ザヤと考えると、米が1%程度に対し、日本は2.5%近くもあるのです。
要するに、日本経済に投資した方が、低金利でカネを調達できる分、経済成長と金利コストの差である“サヤ”が大きく取れて、儲かるのです。
この“サヤ”が、デフレ時代からインフレ時代になり、米優位から日本優位に逆転した点が、ポイントなのです。
ちなみにデフレ時代(2000~2019)は、名目GDP成長率はラフに言って米2.5%程度なのに対し、日はほぼ0%。経済規模が全体として成長しない国には投資資金が入らないのは、金利コスト云々以前の問題として、当然ですよね。
さらに付言すれば、米の(長期)金利は簡単に下がらないと思います。そもそも米は財政・貿易とも赤字の大債務国。借金漬けの国だからです。
一方日本は、財政は大赤字でも世界一の経常黒字を長く積上げてきた債権国、貿易取引では世界一です。米とはそこが正反対!
インフレ時代になった今、市場の優位性は日米で逆転したのですよ✌。
私は何度でも言います、早く、米株→日本株へ!
以上、株メンターⓇでした。来月もお楽しみに。
