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無常の風は時を選ばず 安倍首相ロス

これからまた、日本の政治はものを決められない時代になるのではないか。

 

安倍首相だから、これでも政治が前に進み、ものが決まってきた。

1度失敗した経験を踏まえ、官僚を押さえ込める官邸主導の体制を作り、

岩盤規制にも立ち向かってきた。

政治団体、農協(農中)を無力化したりした。

インバウンド規制緩和も大きな功績だ。

海外との交流拡大で日本の魅力は世界に発信できた。

 

安倍政権の前は、自民党から政権を奪取した民主党(鳩山、菅、野田)が

官僚に対し何もできず、その前は混迷自民短命政権(安倍、福田、麻生)だった。

完全な政治空白、何も決められない時代が小泉時代から6年も続いたのだ。

あの腹立たしい時期を今も思い出す。

 

安倍首相は解決の難しい課題、拉致問題、北方領土問題にも正面から立ち向かってきた。

成果の出にくい課題から逃げるのが、普通の政治家の常とう手段なのに。

 

私は晋三ファンではない。

森友、加計、公文書改ざん問題、明らかに問題も多くあった。

コロナ対応もアベノマスクなど、特に当初、本当にお粗末だった。

しかし、明らかに他の首相よりはるかに多くの前向きな実績を残してきた。

足元も体調不良な中、夏休みを取らず前線に立ち続けた。

オリンピックも、本来中止の所、延期とすべく世界を奔走した。

 

最も目立つ功績は外交だ。

日本の近代政治史で、相対的に日本のリーダーが最も世界から高く評価された

のが晋三時代ではないか。

今や世界の国際協調をリードしていた。

まあ、海外に有力なリーダーがあまり居ないこともあると思うが。

 

トランプが世界中で唯一言うことを聞くのが、晋三だ。

彼も残念がるはずだ。

もしトランプが再選したら、日本は新首相次第では、

高関税を吹っ掛けられたりしかねない。円高にも今後要注意だ。

2人の関係があったから、米からのプレッシャーを回避できたと私はみている。

 

習近平にも一目置かれ、プーチンともサシで渡り合える

関係を作ってきた西側の代表は他に誰も居ない。

2人にとっても、時に仲介役となる晋三が居なくなるのは、不都合で残念なはずだ。

 

日本の政治家で、こんな外交を他に誰ができるか。

 

 

日本の政治は今後、国難に立ち向かえるのだろうか。

官邸主導の晋三でも物事が前に進まない、国会がすぐ紛糾する

超硬直的な政治体制の日本において。メディアや野党は批判しかできない。

 

 

これは、海外投資家が最も注目するポイントなのだ。

政治がリーダーシップを欠くと、日本株の魅力がさらに薄れかねない。

日本は本当に世界からスルーされる市場になりかねない。

政治の迷走は日本株の大きなリスクとなりうる。

 

日経平均をアベノミクスで1万円割れから2万円超に押し上げたのは晋三だ。

日本は晋三を失う。・・・なんか、先を考えるほど、晋三ロスだ。

晋三の病を重くしたのは、評価せず文句ばかり言い続いた我々のせいかもしれない。

 

 

最後に、私はファンではないことを断った上で、一国民として安倍首相にお礼を言いたい。

『1期目は”あれ?”と思ったけど、2期目はそこから学び、粉骨砕身、長期間お疲れ様でした。任期中、おかげで日本は基礎体力が落ちる中でも経済は前進し、我が国の世界におけるプレゼンスは大きく飛躍しました。首相のお陰です。「余人をもって代えがたし」。ご静養下さい、ありがとうございました。』