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3社目の米銀破綻の意味 ファーストリパブリック銀行

米でまた銀行破たん、ファーストリパブリック銀行。サンフランシスコを拠点とし、資産規模は昨年末時点で2126億ドル(29兆円)と全米14位、結構大きい銀行だ。

 

これでシリコンバレー銀行、シグネチャー銀行に次いで破綻は3行目。

 

「次はどこ?あやしそうな所は?」

 

確かな根拠が無くとも、仮に嘘でもウワサが広まれば、

預金の取り付けが生じて一気に銀行危機になる状況のようだ。

 

群集心理、集団心理とは、恐ろしい。

金融市場も、この急変によって振り回される。

 

まだ米景気は悪化の前段階だ。後の2行は今潰れる必要は無かったはず。

心理的緊張が全米を覆っているため、なのだろう。

 

本来の信用リスク拡大のプロセスとは、以前も書いたが

まず借り手の企業・ファンド他に痛みが発生、それら融資先が破たんすると、

貸し手の銀行も危機に、が順序だ。

 

今回は個別事情で銀行1社が先に破たんし、以降不安心理が連鎖する形となっている。

融資先の焦げ付きが原因ではない。

 

大手行には全く問題が無く、金融システム全体にとっても

今現在は全く不安はない。

 

 

ただ、こうして3行も破綻すると、銀行の融資態度には重大な影響がある。

 

特に中小銀行は、リスク管理を急速に徹底すべく

信用度の低い取引先中心に、貸し渋り、貸し剥がしを

猛烈に始めるだろう。

あやしい噂が立っただけで、取り付け騒ぎに発展し

一気に経営危機に陥るからだ。 

 

この銀行の融資態度の急変は、経済に非常に大きな影響を与える。

急ブレーキが掛かる。

 

景気が一気に減速し、また低クレジットなファンド、企業が

あぶり出されるように今後経営危機を迎えるだろう。

 

年後半から来年にかけて、いよいよ米経済は

深刻な景気後退を覚悟する必要がある。

同時にクレジット危機も、時に市場を襲うのだろう。

 

まずは借り手から、だ。

 

なお足元の銀行の連鎖破たん、収まって欲しいが、それもまだ行方は見えない。

当局も弱い銀行を丸ごと抱えることなどできない。